ニュージーランドのスーパーマーケットの精肉売り場に行くと、気づくことがあります。並んでいるのは、牛肉、鶏肉、豚肉、羊肉、加工肉に……あれ? 犬の写真入りや、猫の写真入りのラベルが付いた、肉入りのプラスチック容器が並んでいます。そう、肉を常食とする犬や猫もいるのです。
肉がペットフードのトレンドに!
スーパーマーケットでは私たち人間のための肉類と隣り合って、犬や猫用の肉が置かれています。ジンボーという老舗ブランドのペットフードを例に挙げてみましょう。いろいろ種類があり、ビーフや、ステーキ(ビーフの角切り)&キドニー(腎臓)、ラム(子羊)、チキン、ヴィール(子牛)、はたまたカンガルーまであります。 猫用フードの値段は450g入りだと値段は6.50NZドル(約460円)~7.40NZドル(約520円)、犬用だと900g入りで7.90NZドル(約560円)~8.30NZドル(約590円)といったところ。 価格は肉の種類によりばらつきがあります。目安として中型の猫には1日150g与えるので、450g入りは3日分ということになります。中型犬には350gを与えるので、900g入りは2日半もつことになります。 スーパーに定期的に足を運んで買い物をする筆者には、こうしたペットフードの取り扱いが少しずつ増えていっているのがわかります。既存のブランドが種類を増やしたり、新規ブランドが参入してきたりしているのです。 犬や猫がとるべき栄養素の代表であるたんぱく質。たんぱく質を多く含む肉を与えるメリットを、 筆者の友人や地元の獣医などが教えてくれました。歯をきれいにし、息も匂わなくなる、アゴがしっかりする、体全体の免疫力を高める、元気になる、性格が穏やかになるといった効果が期待できるのだそうです。
米国・カナダ・英国でも肉のフードが増えつつある
ペットフード製造メーカーと、原材料を支給する企業とが集まった国内組織「ニュージーランド・ペットフード・マニュファクチャラーズ・アソシエーション(NZPFMA)」の調べによれば、肉を与えているという猫の飼い主は約11%を占め、現在もじりじりとその割合は上がっているといいます。 一方、ドッグフードでは約32%。犬のだいたい3分の1が肉を常食としていることになります。 ちなみに最も購入されているキャットフードは缶詰やパック入りのもので、全体の約46%。売れ行きは安定しているとのこと。ドッグフードではドライフードで約36%。これは現在減少傾向にあるのだそうです。 ペットフードとしての肉の人気はニュージーランドに限ったことではありません。米国のペットフード・インダストリー・コミュニティは、ペットフードの専門家が情報交換を行うための団体です。 同団体が米国、英国、カナダのペットフード事情を調査したところ、肉を与える飼い主はやはり徐々に増えているのだそうです。その一方で、従来のフードの人気は下がり気味だといいます。
私は何のためらいもなく、代々飼う猫にドライフードを与えています。そのため、飼い主は犬や猫に本当に肉を与えているのだろうかと疑問に思い、ペットを飼う友人に尋ねてみました。 たとえば友人宅のメスのシーズー犬、ロビンは缶詰入りのエサを食べて大きくなりました。年齢を重ねるにつれ、友人は、社交的だったロビンが少しずつ引っ込み思案になるのが気になり始めます。 年を取ったにしても、少しでも以前の元気を取り戻してほしいと、知り合いに勧められるままに地元のブティック・ペットフード・ブランドの肉を与えてみたのだそうです。 すると驚いたことに、ロビンは徐々に活発さを取り戻していったのだそうです。もちろん以前同様とまではいきませんが、それでも遊ぶ時は元気に、とことんまで遊ぶようになったと友人はにこにこ顔で話してくれました。 さらに病気などで獣医に連れていく回数も減ったそう。治療費や薬代はばかにならないだけに、飼い主の財布にも利点があったといえそうです。 友人によれば、肉を与えるように勧めてくれた知り合いは、ロビンの不活発さは缶詰入りのペットフードに含まれる添加物や保存料からくるのではないかと考えているのだそう。あくまでも個別の例ではありますが、結果的にロビンは肉のペットフードに代えたことで体調を整えることができ、元気になったのだろうというわけです。 牧畜業が盛んなニュージーランドでは、大手メーカーだけが肉を原料としたペットフードを製造しているわけではありません。友人が買い求め、ロビンに与えたペットフードを作ったような、規模は小さいながらも肉のペットフードを専門的に、そして丁寧に製造するブティック・ブランドが各地に点在しています。 手近なところにあるブティック・ブランドを選べば、ペットが口にするフードは添加物のない肉であると同時に新鮮さというメリットも加わり、犬猫の健康に貢献してくれるのでしょう。
参照:LIMO
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