野良猫トラブル

「放置するとどんどん増える」 野良猫トラブル続出 命奪わず、どう減らす?

PetLives

公園や駐車場などさまざまな場所で姿を見せる野良猫。滋賀県内では関連トラブルも頻発しており、猫の切断死骸が見つかるむごい事例も相次いでいる。人々の暮らしのそばで生きる湖国の野良猫たちの現状を調べた。

 猫たちの保護部屋に入室すると、鋭いまなざしが一斉にこちらに向いた。人に慣れていない様子で部屋の角やエアコンと天井の隙間などに身を寄せていた。  保護活動に取り組むNPO法人「LOVE&PEACE Pray」(大津市秋葉台)は現在、飼い主がいない約30匹を引き取っている。毎日1回は野良猫についての電話相談があるといい、藏田和美代表理事(50)は「ノウハウがある団体が少ないためかもしれないが、相談は増える一方だ」とこぼす。

■全体の生息数把握できず  県生活衛生課によると、県や大津市が収容した猫は2019年度は795匹で、15年度の1584匹からほぼ半減した。だが、収容した多くは野良猫が生んだとみられる子猫といい、成猫を含めた全体の生息数は把握できていないという。  野良猫は一定の地域に住み着く習性があるといい、県にはふん尿やごみ荒らしの被害など、猫に関する苦情が19年度は458件報告され、前年度から128件増加。20年度は10月末現在ですでに361件が寄せられ、同課は「マナーがない餌やりの結果、猫が集まってトラブルにつながるケースもある」と説明する。

 野良猫が巻き込まれたとみられる事件も相次ぐ。昨年3月以降、刃物などで人為的に切断された可能性が高い猫の死骸が彦根市や東近江市など県内で13件見つかった。県警生活環境課は、「目的は分からないが、身近な動物として狙いやすい側面はある」とし、動物愛護法違反の疑いもあるとして捜査を進めている。

■ 「良い環境づくり」で被害軽減  命を奪わずに野良猫を減らすにはどうすればよいのか。県は新たな繁殖を防ごうと、野良猫の管理を地域住民らが手掛ける「地域猫活動」を10年度から推進。18年度以降は不妊去勢手術などの対策に1件最大5万円を補助し、20年度の申請はすでに予算上限の20件を見込む。県生活衛生課は「放置するとどんどん増えるので、1匹ずつ手術して対処することが必要」とする。

 藏田さんの法人も、野良猫の相談を受けても安易に引き取らず、手術の仲介や捕獲の協力などにとどめ、地域での共生を重視する。場所や時間を決めた餌やりやトイレの設置などで、ごみ荒らしやふん尿などの被害は改善されるといい、「良い地域環境をつくれば野良猫は減る。猫に餌をあげている人がいても、問題視して孤立させるのではなく、地域全体で問題を解決しようとする意識を持ってほしい」と願う。

参照:京都新聞

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